腸内細菌は肝炎の原因にも

肝炎は悪玉の腸内細菌が原因で発症するケースがあります。肝炎の原因としては肝炎ウィルスによるものがありますが、原因不明の肝炎は悪玉の腸内細菌が原因になっているケースが多いものと思われます。肝炎は肝硬変、肝臓がんへと進行する恐ろしい病気です。

悪玉の腸内細菌が原因で発症する肝炎は、肥満が大きく関わっています。

肥満と腸内細菌による肝炎発症のメカニズム

肥満が原因の肝炎は悪玉の腸内細菌が関係しています。日本には非アルコール性の脂肪肝疾患(お酒を多量に飲まない人の脂肪肝)の人が1000万人以上いるとされていますが、そのうちの約2割が慢性肝炎になると考えられています。

このようなお酒もウイルスも関係しない肝炎は原因不明のものとして、なぜ発症するのかは今まで謎でした。しかし横浜市立大学附属病院消化器内科中島淳教授らの研究グループが、脂肪肝から肝炎が発症する原因として悪玉の腸内細菌が関わっていることを突き止めました。

悪玉の腸内細菌が肝臓に侵入して肝炎に

脂肪肝から肝炎になるメカニズムは、悪玉の腸内細菌やそれが生成する細菌毒素が肝臓に侵入して炎症を引き起こすことです。今まで原因不明とされていた肝炎の原因の1つが、悪玉の腸内細菌にあったのです。腸には免疫細胞の70%が集中しているがゆえに、腸内細菌と免疫力の関係が大きいことは知られています。

しかし、肥満の人はそうでない人に比べて、脂肪肝から肝炎になるリスクが高くなりますが、それはなぜでしょうか?

なぜ肥満だと肝炎になりやすい?

肥満の場合に肝炎が発症するリスクが増すのは、細菌毒素に対する過剰反応が原因であるようです。肥満ではない人にとっては問題のないレベルの細菌毒素であっても、肥満の人の肝臓の場合は細菌毒素に対して過剰反応を引き起こすようです。

肥満になると、脂肪組織からレプチンというホルモンが多量に分泌されます。このレプチンが肝臓に影響して、細菌毒素に対する肝臓の抵抗力を低下させるようです。その結果、健康な状態の肝臓では問題のないレベルの細菌毒素であっても、抵抗力が弱い肝臓は同レベルの細菌毒素で炎症を引き起こしてしまいます。

腸内細菌が原因の肝炎を予防するには?

悪玉の腸内細菌が原因である肝炎の予防には、まず肥満の改善が欠かせないでしょう。上記のように肥満の場合は細菌毒素に対する抵抗力が弱くなってしまいます。肥満を改善することで細菌毒素に対する抵抗力を上げることができれば、肝炎にかかりにくくなります。

また、腸内細菌を意識した対策も効果的だと思われます。細菌毒素を出すのは腸内悪玉菌と呼ばれる体に悪さをする悪玉の腸内細菌であるため、ビフィズス菌や乳酸菌のような善玉の腸内細菌を増やすことで細菌毒素を減らすことが肝炎の予防に有効だと思われます。