大豆イソフラボンの効果は腸内細菌が決める?

大豆イソフラボンの効果は摂取した人の腸内細菌の構成によって異なるようです。大豆イソフラボンの効果の1つとして「骨の健康維持に役立つ」というものがあります。

大豆イソフラボンを関与成分とする特定保健用食品として「本品は、骨のカルシウムの維持に役立つ大豆イソフラボンを含んでいるので、骨の健康が気になる方に適した飲料です。(表示例)」のような表示が許可されています。言い換えると大豆イソフラボンの骨の健康維持に役立つ効果は、日本が国として公式に認めたものです。

これに対してアメリカでは、大豆イソフラボンの効果に関して逆の評価をしています。

例えばアメリカ心臓協会 (AHA) は「最近の無作為化比較臨床試験の結果から、大豆イソフラボン摂取が更年期の骨減少を緩やかにすることは、まだ明確にされていないと報告」しています。また米国医療研究・品質調査機構 (AHRQ) は「31の臨床試験の結果から、大豆イソフラボン摂取が骨密度や骨形成バイオマーカー、骨吸収バイオマーカーを改善するという証拠は不十分であると報告」しています。

同じ成分に対して、日米で評価が正反対になった原因は何なのでしょうか?

腸内細菌が大豆イソフラボンを代謝

大豆イソフラボンのダイゼインという成分は腸内細菌によって代謝され、イコールという成分に変化します。このイコールという成分はダイゼインに比べて、エストロゲン様活性と抗酸化力が強くなります。

また、ダイゼインがイコールに代謝される量には個人差があります。ある人の場合はダイゼインがほとんどイコールに代謝されず、また、ある人の場合はダイゼインの多くがイコールに代謝される、ということが起こります。

言い換えると、大豆イソフラボンの効果は、摂取した人の腸内細菌によってイコールへと代謝される量が多いほど強くなります。大豆イソフラボンをイコールへと代謝する腸内細菌を多く持つ人ほど、大豆イソフラボンの効果が出やすいということです。

そして、欧米では60~70%の人でイコールの生産能力が低いことが知られています。言い換えると、欧米人は大豆イソフラボンをイコールへと代謝する腸内細菌を持つ人が少ないということです。

このような日本人と欧米人との腸内細菌の構成の違いにより、一方では特定保健用食品に認可されていたり、また一方では「効果が明確にされていない」「証拠は不十分」という報告がされる結果となったりと、正反対の評価につながったのではないでしょうか。

日本人と欧米人の腸内細菌を比較すると、日本人は痩せる腸内細菌を持つ人の割合が多く、欧米人は太りやすい腸内細菌を持つ人の割合が多いです。この違いがそのまま、大豆イソフラボンを代謝する腸内細菌を持つ人の割合として現われたとも考えられそうです。