低炭水化物ダイエットで痩せる腸内細菌が減る

低炭水化物ダイエットをすれば痩せる腸内細菌が減り、逆にダイエットが難しくなっていくことがイギリスで実施された試験で明らかになりました。

低炭水化物ダイエットとは「お肉を食べてもOK」「カロリーを気にしないで大丈夫」である代わりに、炭水化物を控えるダイエット方法です。

低炭水化物ダイエットは思っているほどダイエット効果があるわけではない微妙なダイエット方法です。今まで低炭水化物ダイエットを実践したけど、本当に効果があったのかわからない、というのが正直なところではないでしょうか。

しかも痩せる腸内細菌が減ることが明らかになり、ますますメリットを感じにくい過去のダイエット方法になりつつあります。

低炭水化物ダイエットの効果は?

低炭水化物ダイエットは炭水化物を抜くからダイエット効果があるわけではありません。摂取カロリーのほとんどをたんぱく質から摂取した場合にのみ、若干のダイエット効果を期待できます。

逆にカロリーの多くを脂肪から摂取した場合、低炭水化物ダイエットを行った方が太るという事実もあります。どういうことか、簡単に解説してみます。

三大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂肪)でカロリーを摂取した場合、各栄養素の摂取カロリーの全てが体に蓄えられるわけではありません。各栄養素を摂取したら胃や腸やその他の器官で消化されますが、食物が消化される時にエネルギーを消費します。これを食事誘導性熱産生と言います。

食事誘導性熱産生が起こると摂取カロリーのうち、炭水化物では約6%、たんぱく質では約30%、脂肪では約4%のカロリーロスが発生します。

言い換えれば、炭水化物で100kcal摂取したら94kcal分だけが体に蓄えられます。たんぱく質の場合は100kcalのうちの70kcal分だけ、脂肪の場合は100kcalのうちの96kcal分だけが体に蓄えられるということです。

カロリーのほとんどを炭水化物ではなくたんぱく質で摂取すれば太りにくく、カロリーのほとんどを脂肪で摂取すれば逆に太りやすい理由はここにあります。

低炭水化物ダイエットのデメリットは非常に多いですが、ここでは書きません。本題の「低炭水化物ダイエットの実践が痩せる腸内細菌を減らすデメリット」について書いておきます。

痩せる腸内細菌が低炭水化物ダイエットで減った

痩せる腸内細菌とは腸内善玉菌のことであり、低炭水化物ダイエットを実践することでこの腸内善玉菌が減っていきます。そして逆に、太る体質を育み健康に悪影響を与える腸内悪玉菌が増えていきます。

低炭水化物ダイエットの実践と腸内細菌の変化に関する試験が、イギリスで行われました。試験対象の人を「高炭水化物食(399g/日)、中炭水化物食(164g/日)、低炭水化物食(24g/日)」の3グループに分け、4週間この食事内容を実施して腸内細菌について観察を行いました。

試験対象の人の便を調べたところ、便の中の善玉菌であるビフィズス菌の量は炭水化物の摂取量と比例の関係にありました。便の中のビフィズス菌の量は高炭水化物食で4%、中炭水化物食で2.1%、低炭水化物食で1.9%の割合で含まれていました。

この試験結果から、食事で炭水化物を減らすほど腸内善玉菌であるビフィズス菌の量が減っていく、ということが明らかになりました。ビフィズス菌は痩せる腸内細菌であると同時に、アレルギーの改善、がんの予防など健康とは切り離せないものです。