体脂肪を燃焼する褐色脂肪細胞

体脂肪を燃焼する役割を持つ脂肪細胞として、褐色脂肪細胞というものが存在します。体脂肪を構成する脂肪細胞は、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞に分けられます。

普通は脂肪細胞といえば体脂肪を蓄える白色脂肪細胞を連想するのですが、自ら体脂肪を燃焼して消費するという変わった役割を演じる褐色脂肪細胞というものも、脂肪細胞を構成する一部として存在するのです。

白色脂肪細胞は主に過剰に摂取したエネルギーを体脂肪として蓄える役割を持ちますが、褐色脂肪細胞には体脂肪を利用して熱エネルギーを生産する役割があります。

褐色脂肪細胞が体脂肪を燃焼して体温を調節

褐色脂肪細胞が体脂肪を燃焼して熱エネルギーを生産することで、体温が上昇するわけです。また、褐色脂肪細胞によるこのような消費カロリーのしくみは、基礎代謝の重要な一部分となっています。

人間を含めた哺乳類や鳥類には、体温を一定に調節する能力が備わっています。

この体温の調節能力のために、寒いところや暑いところでも問題なく活動することができます。また、季節の変化や昼夜にも関わらず、自由に活動することが可能なのです。

そしてこのような体温の調節機能に深く関わるものが、褐色脂肪細胞なのです。褐色脂肪細胞には筋肉による運動の結果とはまた別の、熱エネルギー生産のしくみが備わっています。

私たちが寒いところにいると体が震えて徐々に体が暖かくなってきますが、これは筋肉の運動(ふるえ)による熱エネルギーの発生です。

これとは別に、褐色脂肪細胞には筋肉の運動とは関係なしに、自ら熱エネルギーを生産する機能があります。褐色脂肪細胞の中には多数のミトコンドリアが存在し、ミトコンドリアには発熱に関わる特殊なたんぱく質が多量に存在しています。

褐色脂肪細胞内に多数のミトコンドリアが存在することで、褐色脂肪細胞が熱エネルギーを生産することが可能になるのです。

褐色脂肪細胞には上記のように体温維持の役割があるのですが、これは過剰摂取したカロリーを熱エネルギーとして捨ててしまう役割であるとも言い換えることができます。

褐色脂肪細胞が多い人

褐色脂肪細胞は日本人よりもヨーロッパ人に多く含まれていて、生まれたばかりの赤ちゃんに多く、加齢とともに減少していきます。

もちろん褐色脂肪細胞が多い人や少ない人などの個人差も当然存在し、温度変化の大きい場所に住む人には多い傾向があります。

筋肉のふるえを伴うことなく熱エネルギーを発生するしくみは褐色脂肪細胞以外にも、骨格筋や肝臓、心臓、脳などでもみられます。

また、このような褐色脂肪細胞に関係しない熱エネルギー生産の能力は、寒い環境にいることで増加するようです。これは体が寒い環境に適応するしくみであるともいえます。