肥満の定義

肥満は通常よりも体重が多い状態を指すのではなく、体脂肪率が基準以上である状態を指しています。一般的に男性では体脂肪率が25%以上、女性では体脂肪率が30%以上である状態をいいます。

また、体脂肪率の適正値の目安は30歳未満の男性で15~20%、女性では18~24%、30歳以上ではそれぞれ3%ずつ増えた値です。

ダイエットを行う動機としては体重の増加を気にするためだと思いますが、体重よりもむしろ体脂肪率を考える必要があります。

たとえ標準体重の範囲内であっても体脂肪率が上記の肥満の基準に当てはまれば肥満であり、標準体重以上だとしても体脂肪率が少なければ肥満とはいえないのです。

体脂肪率が増える要因

体脂肪率が増える大きな要因は、運動不足です。食事制限のみで体重を維持することにより、体脂肪率は増加します。

ところで体重を構成する要因には体脂肪、筋肉、骨、水分、便の量など様々あります。体脂肪はもちろん摂取カロリーが余った結果蓄えられたものであり、筋肉の増減は運動量と食事内容が関わります。

骨の量は運動量と栄養摂取の状態により増減し、水分量はナトリウムとカリウムの摂取バランスや生理の症状としての体内水分量の増減などが複雑に絡みます。便の量は便秘であれば増加し、便秘を解消すれば減少します。

ここで運動不足による体脂肪率の上昇のしくみを考えてみましょう。

体脂肪の増加は摂取カロリーよりも消費カロリーが少ないために起こりますので、最初は食事で摂取するカロリーよりも運動で消費するカロリーが少ないことが体脂肪率の増加を招きます。

体脂肪率の増加は体重の増加となって危機感を生みますので、次の段階では食事制限で摂取カロリーを一段と減らすことにより体重を減らします。

この段階が、体脂肪率が増加する悪循環の始まりです。

カロリーのバランスを運動による消費カロリーではなく食事制限による摂取カロリーで調節しますので、使われない筋肉は退化して体脂肪とともに減少します。

基礎代謝は一日全体の消費カロリーの約70%を占める重要な部分ですが、筋肉量の減少とともにこれも減ります。基礎代謝とは筋肉の活動が生み出す消費カロリーであるからです。

食べても肥満になりにくい体質の人もいますが、基礎代謝量の減少は食べなくても肥満になる体質を生みます。

その反対に、たとえカロリーの一部分であっても運動の消費カロリーで減らそうと努力すると、筋肉に刺激を与えてこれが発達する可能性を引き出します。

筋肉量の増加は基礎代謝量のアップへとつながりますので、食べても肥満になりにくい好循環へと突入します。更に食べることで筋肉の発達に不可欠な材料を取り入れ、基礎代謝量は更にアップします。

隠れ肥満に注意

自分で肥満だとは思っていなくても、隠れ肥満という状態が存在します。隠れ肥満とは標準体重であっても体脂肪率が標準以上である状態を指し、上記の「食べなくても肥満になる体質」のことを指します。

隠れ肥満を引き起こす原因は上記の解説の通り、運動量が極端に少なく食事制限のみでダイエットを行うことです。

隠れ肥満は一番メタボリックシンドロームに近い状態でもあるため、体脂肪率を上昇させる悪循環を断ち切る必要があります。

メタボリックシンドロームに限らず、体脂肪率が高い状態は各種の生活習慣病も引き起こしやすいので注意が必要です。